アメア・ガリは七色の後光を背負った虹男だった。しかし、アメア・ガリの背中の後光は太陽の光が無いと輝かないのだ。だから、アメア・ガリが人を集めるのはいつも晴天の昼間。
しかし、天気予報は外れ、急に雨が降ってきた。
アメア・ガリはともかく壇上で全力で祈った。雨よ上がれ。雨よ上がれ。
にわか雨は去り、晴れ間が広がった。
アメア・ガリは背中の後光が復活したことに満足した。
聴衆も感動していた。
「山より大きい虹が出るとは」
アメア・ガリは慌てて振り返ると本物の虹が山にかかっていた。誰もアメア・ガリの背中の後光など見ていなかった。
(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)